【Yahoo!広告】「アトリビューションモデル比較レポート」機能が追加!

by Soichiro Taniguchi

運用の成果を検証する際に、アトリビューションモデルの考え方は欠かせません。

どういったキャンペーンや広告グループからコンバージョンがあったのか、ということに加え、コンバージョンに至るまでどれくらい貢献したのか、ということをモデル別に数値化し検証できます。

すでにGoogle 広告ではおなじみのアトリビューションモデル比較機能。ついにYahoo!広告においても、2022年3月16日から「アトリビューションモデル比較レポート」機能が追加され、ラストクリック以外のアトリビューションモデルで成果を検証できるようになりました。

今回は「アトリビューションモデル比較レポート」機能の概要を説明しつつ、Google 広告との違いやいくつかの注意点について確認していきます。

アトリビューションモデルとは

機能の説明の前に、まずはアトリビューションモデルについておさらいしてみましょう。

そもそもアトリビューション(attribution)とは「~に帰属する」を意味する単語です。マーケティングでは、主に成果につながるまでにユーザーがどういったタッチポイントに接触したのかを分析する際に用いられます。

それぞれのタッチポイントが成果にどれほど貢献したのか数値化するのですが、その貢献度の割り振り方によってアトリビューションモデルが異なってきます。

現在、Yahoo!広告で比較することのできるアトリビューションモデルは次の4種類です。

  • ラストタッチ:最後に接点を持った広告だけに貢献度を割り当てます
  • ファーストタッチ:最初に接点を持った広告だけに貢献度を割り当てます
  • 線形:接点を持った広告に貢献度を均等に割り当てます(例: 4つあれば25%ずつ)
  • 接点ベース:最初と最後に接点を持った広告の貢献度を40%ずつとし、残りの20%を途中に設定を持った広告に均等に割り当てます
     
    (出展:Yahoo!広告公式ヘルプ『アトリビューションモデル比較レポートの提供開始について』)

これまでYahoo!広告の管理画面で確認できるのは「ラストタッチ」のコンバージョン貢献度のみでした。今後はレポート機能を用いることで、モデルが「ファーストタッチ」「線形」「接点ベース」であった場合の貢献度について比較できるようになります

レポート機能をどう活用するか

アトリビューションモデルを比較することによって、これまでとは異なる観点でキャンペーンや広告グループの成果を確認できます。

「ラストタッチ」モデルではまったくコンバージョンに貢献していなかったグループも、その他のモデルで見ると実際にはコンバージョンに少なからず貢献していたというケースもあるでしょう。

比較の結果によっては、広告費の配分やターゲティング、広告の訴求内容など、様々なポイントで検証する幅が広がります。

もともとYahoo!広告には、コンバージョンに至るまでにどのキャンペーン・広告グループにどれほど接触したのかを確認する「コンバージョン経路レポート」機能がありました。実際の経路を確認すると、ユーザーがコンバージョンに至るまでには実に多種多様な経路を辿っていることがわかります。

今回の「アトリビューションモデル比較レポート」機能の追加により、貢献度をモデル別に割り振ってみることで、各キャンペーン・広告グループがユーザーに対して、言わばどれほど「影響力」を持っているのか、をおおよその程度分析できるようになります

得られたデータを活かすことで、管理画面での戦術的な広告運用に限らず、より戦略的な視点から予算配分や施策の方向性などを立案できるようにもなるでしょう

なお、「比較の際にどのアトリビューションモデルを利用すればよいのか」という点については、Yahoo!広告の公式ヘルプがそれぞれのモデルの特徴や適している商材などを解説しているのでご参考ください。

「アトリビューションモデル比較レポート」の注意点

モデルの比較ができるようになったことで検証の幅が広がったYahoo!広告ですが、この機能を用いるうえではいくつか注意しておくべき点があります。

1.検索広告の分析にはMCCアカウントが必須

2.Google 広告よりも使えるモデルや指標、フィルターが少ない

検索広告の分析にはMCCアカウントが必須

「アトリビューションモデル比較レポート」は、ディスプレイ広告の管理画面、またはMCCアカウントの管理画面からのみ使用可能です。

現状(2022年3月16日時点)、検索広告単体で比較レポートを使用することはできません。検索広告でアトリビューションモデル別の比較を行う場合には、MCCアカウントで検索広告用アカウントを選択する必要があります。

MCCアカウントを通せば、ディスプレイ広告と検索広告を横断したデータも表示できるようになるため、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

Google 広告よりも使えるモデルや指標、フィルターが少ない

Google 広告ではすでにアトリビューションの「モデル比較」機能が実装されており、その中で利用可能なモデルは6種となっています。(Yahoo!広告の4種に加え、「減衰」と条件を満たした場合のみ「データドリブン」が利用可能です)

また、Google 広告では「キーワード」「デバイス」をディメンションとして選択できますが、Yahoo!広告では選択できません。「キャンペーン」「広告グループ」といったより大きな括りでしか比較できないため、Google 広告と比べると得られるデータは少ないと言えるでしょう

したがって、Yahoo!広告とGoogle 広告のモデル別成果を単純に比較するのは避けるべきです。もともと媒体によってユーザー層や行動が大きく異なりますので管理画面上でも単純には比較できませんが、不足しているデータをどのように補い施策を導き出すのか、という点がカギになると思われます。

まとめ:戦略的な運用スキルを磨くことが欠かせない

今回は、新しくYahoo!広告に導入された「アトリビューションモデル比較レポート」機能についてご紹介しました。

Google 広告とは異なり、管理画面上でのアトリビューションモデルの切り替え・自動入札への対応は実装されていませんが、モデルを比較することによってこれまでに見えなかった数値が確認できるようになります。

新しいデータを運用に活かすには、クライアントのビジネス目標を正しく理解した上での戦略的な視点が欠かせません。テクニカルな運用の技術をしっかりと磨きつつ、より戦略的な視点を培うためにはぜひとも活用したい機能ですね。


この記事を書いた人

Soichiro Taniguchi

広告運用事業部メンバー。ECからtoB、toCリード獲得まで幅広く担当。 愛するクリエイターは神林長平、冲方丁、山田風太郎、小島秀夫、クリストファー・ノーラン。