【Yahoo!検索】レスポンシブ検索広告をうまく使いこなすには?
2021年5月12日から、Yahoo!でもレスポンシブ検索広告(RAS)が利用できるようになりました。
機能の実装から半年が過ぎようとしていますが、実際に使ってみたという方も増えてきたのではないでしょうか。
運用を行う上では、検証に必要なデータがまだまだ足りない段階です。
しかし、レスポンシブ検索広告の習熟は今後の広告運用において避けて通れない道でもあります。
というのも、Googleでは2022年6月30日から拡張テキスト広告の作成、編集ができなくなることがアナウンスされています。
レスポンシブ検索広告の機能や性質を理解して、うまく使いこなす技量が求められます。
一方のYahoo!では、しばらく拡張テキスト広告とレスポンシブ検索広告を併用することになると予想されます。
ふたつの広告の違いをしっかりと把握して、テクニカルに使い分ける必要があるでしょう。
ここで懸念となるのが「GoogleとYahoo!ではベストプラクティスが違うのでは?」という点です。
レスポンシブ検索広告はGoogleが先駆けて導入しており、また必要なアセットも同じです。
そのため、Googleと同一の広告文をYahoo!でも使いまわしている、というケースはないでしょうか?
その場合は、Googleと比べて広告文の成果が大きく異なる可能性がある、ということを肝に銘じておく必要がありそうです。
同じアセットを入稿した結果……
ここで一例を紹介します。
弊社で扱っているBtoB案件において、GoogleとYahoo!で同一のレスポンシブ検索広告を配信したとき、次のような結果となりました。
媒体特性によってクリック率に差が生じるのは仕方ないとして、コンバージョン数にここまで大きな開きが生じるのはなぜでしょうか。
※同一アセットのレスポンシブ検索広告単体での比較
アカウント構成やキーワードなどに違いがない場合、この差の原因としてはいくつか考えられます。
- 各媒体におけるユーザーの検索語句(クエリー)や検索意図の違い
- 入札戦略の違い
- 媒体のベストプラクティスの違い etc...
同一の広告文とはいえ、成果に差異を生み出す要因は多岐にわたるため、様々な角度からの検証が必要になります。
その中でも、今回は「媒体のベストプラクティス」に着目してみました。
Yahoo!の推奨する使い方とは?
レスポンシブ検索広告を効果的に使用するために、Yahoo!公式では5つのポイントを挙げています。
- 広告グループごとに1件のレスポンシブ検索広告を作成してください。
- できるだけ多くのアセットを入稿してください(タイトルは5件以上を推奨)。それにより、効果的に最適化されます。
- 最適なタイトルと説明文を表示させるためには学習期間が必要です。短期間でレスポンシブ検索広告を停止することは推奨しません。
- レスポンシブ検索広告と拡大テキスト広告の広告を、クリック率のみを比較し、運用検討をすることは推奨しません。
- レスポンシブ検索広告を利用することで、広告グループ全体のインプレッション・クリック・コンバージョンの向上が期待できます。成果は広告グループ全体のパフォーマンスで確認してください。
(引用元:レスポンシブ検索広告とは)
さて、ここで注目したいのが4と5の事項です。
レスポンシブ検索広告は表示される都度、その組み合わせが変わるため、拡張テキスト広告よりもクリック率にブレが生じやすいのは確かでしょう。
それに加えて、広告文単体での成果ではなく、追加した後の広告グループ全体のパフォーマンスの変化を評価指標としています。
これらのことから、Yahoo!では拡張テキスト広告とうまく組み合わせることで、成果を最大化させることを目指しているように思われます。
Googleのようにレスポンシブ検索広告のみに絞り込むのではなく、見出しが固定している拡張テキスト広告で成果を挙げつつ、さらにレスポンシブ検索広告でコンバージョンの幅を広げる、という使い方が向いているようです。
Googleにおいては、拡張テキスト広告での勝ちパターンをレスポンシブ検索広告に盛り込むことが推奨されています。
これは、いずれレスポンシブ検索広告のみが作成・編集できるようになる伏線であったのかもしれません。
それに対して、Yahoo!ではしばらく拡張テキスト広告との共存が続くようです。
そのため、成果の良い拡張テキスト広告を阻害しないようにアセットを考えるのが不可欠です。
レスポンシブ検索広告では、拡張テキスト広告でリーチできないクエリーに訴求できるアセットを追加するのがよいでしょう。
参考までに、上に挙げたレスポンシブ検索広告の見出しを変更した結果が以下のとおりです。
拡張テキスト広告との重複をなるべく避け、検索クエリーでしばしば見られるテキストに向けた訴求を追加しました。
同時期に日予算も上げたため、完全なApple to Appleの比較ではありませんが、クリック率が大きく上昇しています。
また、これまでに拡張テキスト広告で獲得できなかった検索クエリーからもコンバージョンにつながりました。
以下の表は、広告見出しに含んだテキストAが含まれるクエリーの抽出結果です。
全体のインプレッションに対してごくわずかな回数しか表示されていないクエリーですが、表示回数の伸びに対してクリック率の上昇が大きく、コンバージョンに至っています。
このコンバージョンできるクエリーの幅を広げるという作用が、Yahoo!においてレスポンシブ検索広告を導入するうえで最も着目すべき点ではないでしょうか。
できることから実践していく
Yahoo!では、残念ながらアセットがどのような組み合わせで表示されているのか、確認する手段がありません。
現時点では、表示回数やクリック率、コンバージョン数といった数値で成果を判断しなければならないため、クリエイティブ面での検証が難しい段階です。
とはいえ、数値で如実にあらわれる以上、そこから推し量れることもあるのではと思います。
結論としては極めて基礎的なことになってしまいますが、「入稿したらそのまま」ではなく、パフォーマンスを定期的に確認して改善していくことがレスポンシブ検索広告を運用するうえでも不可欠です。
運用者としての手腕が問われるこの機能、うまく使いこなしていきたいですね。
この記事を書いた人
Soichiro Taniguchi