【Google 検索広告】入札戦略とは?種類から選び方まで基礎を解説!
運用型広告をチューニングする上で、入札戦略の選択は成果に大きな影響を与えます。
しかし、一口に入札戦略といえども様々な種類があるため、「どれを選べばいいのかわからない……」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
専門的な語句や考え方が多く、とっつきにくい印象もある入札戦略ですが、基礎をしっかりと押さえておけば迷うことは少ないです。
今回は基礎編としてGoogle 検索広告の入札戦略をご紹介します。
入札戦略の特徴と選び方についてぜひご参考ください!
入札戦略とは?
そもそも運用型広告における入札戦略とは、「広告オークションにおける入札価格をどのように決定するのか」を設定するものです。
広告の掲載順位は、「入札単価」「広告とランディングページの品質」などから算定される広告ランクによって決まります。(広告ランクについて)
そのため、入札単価の設定は表示機会や掲載順位に大きく影響します。
また、入札単価によって実際のクリック単価(CPC)も変動します。CPCの上下はコンバージョン単価(CPA)をはじめとした配信の成果にも影響するため、どの入札戦略を選ぶのか(どのように入札単価を決めるのか)は極めて重要な設定だと言えます。
入札戦略にはいくつかの種類があるため、まずはそれぞれの特徴を理解することが大切です。
入札戦略の種類
媒体によって入札戦略には様々なバリエーションがありますが、Google 検索広告においては以下のものが選択可能です。
2023年2月時点で、全8種の選択が可能となっています。
それぞれの入札戦略について、詳細を見ていきましょう。
手動入札
■個別クリック単価制
基本的にすべての入札単価を手動で調整します。
キャンペーン、広告グループ、キーワードといった単位での細かな設定ができるほか、デバイスや地域、スケジュールなどの入札単価の強弱も柔軟に設定することができます。
任意で調整できる部分が多い反面、チューニングに時間がかかるほか、適切な入札単価を決定するための分析にリソースが必要です。
自動入札
手動入札と異なり、それぞれの戦略の目的を達成するために入札単価が自動的に調整されます。
自動調整の機能としては「自動入札」と「スマート自動入札」という2種類があります。そのうち、シンプルな「自動入札」とされているものには以下の2つが挙げられます。
■クリック数の最大化
指定した予算内で最大のクリック数を得るために、自動で入札単価が調整されます。ウェブサイトへの流入数を最大化したい際に効果的な入札戦略です。
基本的に入札単価は調整できませんが、「上限CPC」を設定することで、一回の入札あたりのクリック単価に上限を設けることができます。
■目標インプレッションシェア
Google 検索の検索結果ページに表示される割合(インプレッションシェア)の目標を達成するために入札単価が自動で調整されます。
広告の掲載場所として、検索結果ページの最上部、上部、任意の場所を目標とするよう設定できるほか、「目標インプレッションシェア(%)」の設定や、「上限CPC」による入札の上限を設定することができます。
認知向上を目的とする場合に効果的です。
スマート自動入札
通常の「自動入札」がクリック数やインプレッションシェアを目標としていたのに対し、「スマート自動入札」はコンバージョンを目的とした広告配信に適した機能となっています。
(スマート自動入札について)
通常の自動入札で使用される機械学習に加え、個々のユーザーやオークション時のコンテキストといったスマート自動入札独自のシグナルを利用できます。
機械学習が使用するデータがより多くなるため、適切な情報を与えることで更なる成果の改善を見込めるようになります。
また、スマート自動入札の使用には、コンバージョンやコンバージョン値の設定が必要となります。
■拡張クリック単価(eCPC)
手動入札の個別クリック単価制をベースとしつつ、コンバージョンする可能性が高いと判断された場合には、手動で設定した入札単価が自動的に調整されます。
他のスマート自動入札よりCPCのコントロールがやりやすい反面、他のスマート自動入札より使用されるシグナルが少なく、目標のCPAやROASの達成を目指した調整はされません。
デバイスやスケジュール、地域などの入札単価も手動で調整する必要があるため、他のスマート自動入札よりもチューニングにリソースが必要です。
■コンバージョン数の最大化
設定された予算を使用しつつ、最大限のコンバージョンが得られるように入札単価が自動で設定されます。
基本的には、設定された日予算を使い切るような挙動となります。そのため、CPCが上昇しやすい傾向にあります。
地域や広告のスケジュール、オーディエンス、ユーザー属性といったシグナルも、これまでのコンバージョンデータを参考に自動的に調整されます。
また、デバイスに関しては-100%の調整のみが可能となっています。
■目標コンバージョン単価
設定されたCPAの目標値を達成するよう、入札単価が自動的に調整されます。
上述の「コンバージョン数の最大化」戦略を選択した際に、目標CPAを設定することでこちらの入札戦略が適用されます。
「コンバージョン数の最大化」戦略と比較して、目標CPAを達成するためにCPCを抑制しやすい傾向にあります。
そのため、一日の使用広告費が設定された日予算に達しない場合があるのも特徴です。
なお、設定した目標CPAを必ず達成できるものではないことに留意しなければなりません。
加えて、目標CPAを大きく上回る水準で配信が推移した場合、配信が大きく抑制される可能性があります。
■コンバージョン値の最大化
コンバージョンアクションごとに値が設定されている場合、そのコンバージョン値を最大化するように入札単価が自動で設定されます。
上述の「コンバージョン数の最大化」戦略と同じく、設定された日予算を使い切るような挙動となります。
■目標広告費用対効果
設定された目標広告費用対効果(ROAS)を達成するよう、入札単価が自動的に調整されます。
上述の「コンバージョン値の最大化」戦略を選択した際に、目標のROASを設定することでこちらの入札戦略が適用されます。
挙動としては「目標コンバージョン単価」戦略と同じような動きをします。
設定された目標のROASを達成しやすい反面、一日の広告費が日予算を下回ったり、配信が想定よりも抑制されてしまう場合があります。
入札戦略の選び方
上記で挙げた入札戦略は、数が多くその特徴も複雑であるため、やや選びにくさを覚えることがあるかもしれません。
しかし、入札戦略の選定自体は、極めてシンプルに考えることができます。
すなわち、「広告を出稿する目的に沿った戦略を選ぶ」というものです。
※Google 広告のヘルプ(スマート自動入札ガイド)より作成
上図のフローチャートに従うと、適切な入札戦略を選びやすくなるかと思います。
まずはコンバージョン目的かどうかを起点に考えましょう。
コンバージョン目的であるならば、コンバージョン値に基準を置くのか、コンバージョン数に基準を置くのかを考え、次に目標のCPAやROASの有無で判断しましょう。
コンバージョン目的でない場合は、クリック数やインプレッションシェアなどの、それぞれの配信の目的に合った戦略を選べば間違いありません。
また、「媒体の裏をかこうとせず、素直に目的に合った戦略を選ぶこと」を推奨します。
コンバージョン目的であるのに「クリック数の最大化」を選んだり、目標のCPAを無視して「コンバージョン数の最大化」を選ぶなど、配信の目的を無視した戦略を選ぶことは経験上悪手です。得てして、コンバージョン率の低下やCPCの高騰などにより、本来の目的を達成できないケースにつながります。
逆を言えば、目的に合った戦略を選ぶことで格段に目標を達成しやすくなるということでもあります。
媒体の機械学習の精度は過去に比べても向上しており、目標に合う動きをするように最適化もされています。
自動入札を選んだ場合には、媒体に任せる部分は任せ、運用者はその他の手を入れられる領域に注力するのがベストでしょう。
個別(拡張)クリック単価について
すべてお任せの自動入札ではなく「個別クリック単価制」を選んだり、ある程度の入札単価調整が可能な「拡張クリック単価」を選ぶことも選択肢として挙げられます。
コンバージョンデータが少ないうちはスマート自動入札でも成果が安定しない場合があります。
機械学習に必要な、シグナルごとのコンバージョンデータを蓄積するために、一定の期間を細かな調整が可能なこれらの入札戦略で運用するのもオーソドックスな運用方法のひとつです。
ただし、チューニングには経験や知識、リソースが必要になる場合もあるため、状況に合わせて手動入札か自動入札を選択してください。
まとめ
今回は、Google 検索広告における入札戦略の特徴と選び方についてご紹介しました。
Google 広告の中でもキャンペーンタイプによっては、さらに別の入札戦略があります。また、他媒体に関しても入札戦略の名前や特徴に差異があります。
しかし、いずれも今回ご紹介したような仕組みや考え方がベースになっていますので、ぜひ各戦略の特徴を押さえていただければと思います。
また、最近は特に自動入札をうまく働かせること=よい機械学習をさせることが求められています。
運用者が押さえておきたい、自動入札をうまく働かせるポイントについては以下の記事もぜひご参考ください。
この記事を書いた人
Soichiro Taniguchi