【検索広告】LPOでリード獲得数4倍を達成した道のり
広告運用の自動化が進む中でクリエイティブのPDCAを回していく重要性は年々高まっていると思います。バナーや広告文など入口となるクリエイティブのPDCAも重要ですが、同様にランディングページも重要です。いや、それ以上かもしれません。
バナーや広告文のPDCAをどれだけ回しても、ランディングページが最適化されていないとコンバージョンに繋がりづらく、機会損失が発生している状態とも捉えられます。
今回は私が担当するBtoB案件でLPOによってリード獲得数が約4倍になった事例を紹介します。改善にあたって実施したLPO施策もお伝えしますので、ご自身の案件に活かしてみてください。
※LPO(ランディングページ最適化)・・・ランディングページ(LP)を最適化し、リード獲得数・売上の増加を図るマーケティング施策。
LPOを実施した結果
LPOを実施したのはBtoBの案件です(具体的な商材名は伏せさせてください)。メインが検索広告の配信になるのですが、一般系のキャンペーンでは月に5件前後のリード獲得となっておりました。さらにリード獲得が発生するのは、特定の検索語句に限られていました。
これからリード獲得数を増やしていくためには、さらに幅広い検索語句からコンバージョンを獲得しなければならない。また、コンバージョン実績がある検索語句に対して広告配信を強化するためにも、コンバージョン率の上昇を図るのは必須だと思い、LPOに着手しました。
そして、約1年間ほどLPOに注力した結果、リード獲得数を約4倍まで増やすことに成功しました。
●LPO実施前(23年8月)
費用316,794円 CV5件 CPA63,359円 CVR0.66%
●LPO実施後(24年8月)
費用1,410,069円 CV18件 CPA78,337円 CVR0.88%
※Google・Yahoo!・Microsoftの一般系を合算した実績になります
実施したLPO施策
実施したLPO施策は以下です。LPO施策の事例で挙がることが多い「CTAボタンのテキスト変更」や「内部コンテンツの位置変更」といった細かい施策だけでなく、抜本的な改善施策も含まれているので、取り入れるのが難しいかもしれませんが、参考にしてみてください。
①LPに自社ならではの訴求軸を反映
はじめはユーザー理解を深めるために、営業担当者へのアンケートを実施しました。(本当は既存顧客にアンケートを取りたかったのですが諸々事情があり実施できず、実際に商談を行っている営業担当者へのアンケートを実施しました)
このアンケートでは「ユーザーが抱えている悩み」「ユーザーに刺さるセールストーク」などユーザー理解のために必要な項目を設置して、記述式で回答してもらいました。ユーザー目線ではなく営業担当者目線ですが、これによってユーザーに刺さる訴求軸や自社商材を求めるであろうユーザー像などを再整理できました。さらに得られた情報をもとに、競合の訴求軸と比較することで、自社ならではの訴求軸を導き出し、LPに反映しました。(実際は反映というより、新たにLPを制作しました。既存LPはデザイン面にも課題があったので、その点も解消するためです。)
※自社ならではの訴求軸というのは、自社だけが保有するアセット、実績、権威、企業背景をもとに訴求できる要素です。競合にとってはマネしたいと思ってもマネできない訴求軸なので、それを求めるユーザーがいるのであれば、バナー・LP等のクリエイティブに組み込むと非常に強力だと思っています。
実施した施策の中で、こちらが最も効果的だったと思います。
②競合LPとの比較によって不足しているLP内コンテンツの追加
こちらは①とほぼ同じタイミングで実施した施策になります。LPはいくつかのコンテンツによって構成されていると思うのですが(「ファーストビュー」「お悩みパート」「CTAエリア」「ご利用の流れ」「訴求パート」「よくある質問」など)、競合7社と自社LPを比較して不足しているコンテンツの炙り出しを行いました。
結果として競合7社のLPには含まれているのに、自社LPに含まれていないコンテンツが3つほど見つかったので、それらをLPに反映しました。こちらもコンバージョン率の改善に大きく寄与しました。
一応補足ですが、LP内のコンテンツは何らかの意図があって設置されているはずなので、その意図を推測して自社LPにも組み込んだ方がよいか?の判断を行ってから追加した方が良いと思います。
③LPOを推進していくための体制構築
LPOをゴリゴリ進めていくためには、体制構築も重要です。元々この案件ではクライアントの方でデザイン〜コーディングまで行って、LPを制作していました。ただ、この体制では、スピード感のあるLPOを進めていく上で、クライアントに負荷がかかりすぎてしまう懸念がありました。
そこで、まずはコーディングの負担を減らすため、Wix、StudioといったノーコードのLP制作ツールを提案して、スムーズに実装までできました。併せて、LPデザインのワイヤーは私の方で制作する座組にしたことで、デザインを考える負担も減らすことができたので、LPOを実施する上でのクライアントの負担を大きく減らすことができました。
この体制構築ができなければ、改善スピードはガクッと落ちていたと思います。そのため、LPO施策の一部として挙げております。
④その他施策
①~③は抜本的な改善施策になりますが、細かい部分的な施策を以下に羅列します。※若干、詳細をぼかしているため、分かりづらいかもしれません
FVに検索語句と親和性の高いテキストの追加
実施意図:LP流入したユーザーを自分事化させることでCVR向上に繋がるか検証するため
CTA文言の変更
実施意図:Clarityの録画データを確認したところ、ユーザーが反応しやすいテキストが分かったため、その文言をCTAボタンに適用することでCVR向上に繋がるか検証するため
フォームエリアの改善
実施意図:フォームエリアは入力項目だけ表示された簡素なエリアだったので、新たな訴求文言・画像等を追加することで、CVR向上に繋がるか検証するため
FVフォームエリアの改善
実施意図:FVエリア内に設置しているフォームのUI改善によって、CVR向上に繋がるか検証するため
導入事例エリアの改善
実施意図:BtoB案件においては信頼を獲得するためロゴなどによる実績訴求が重要だが、諸事情があり導入企業のロゴ等を掲載できなかった。そのため、導入事例エリアの訴求力を高めることでCVR向上に繋がるか検証するため
挙げだしたらキリがないのですが、このような施策を実施しました。LPO施策というと、上記のような部分的な施策をイメージする方が多いのではないでしょうか?
こういった施策はインターネット上からアイディアを多く拾うことができて、そこまで実施工数もかからないため楽と思う方もいるかもしれません。
ただ自社LPの課題や仮説を踏まえずテンプレ的に実行しても、あまり効果が出ないかなという印象です。(私の経験則上、やはりLPOはLPが有する課題を解決することで、CVR向上に繋がるものだと思っています)
※前述の施策も「施策アイディアを思い付いたから実施した」というよりかは、課題や仮説に基づいて実施しております。
まとめ
LPOを実施することで、広告領域の改善施策だけでは得られない、大きな成果を手にすることができます。全ての企業がLPOをゴリゴリ進めているわけではないと思いますが、ゆくゆく広告運用とLPOを両輪で進めていくことが基本となったときに、競合他社に取り残されないよう、ぜひ今回の記事をご参考に、LPOにチャレンジしてみてください。
この記事を書いた人
かずくん